映画『MOTHER マザー』を観た感想|あらすじ・キャスト・セリフも紹介!

こんにちは、けんたろうです。

今回は、長澤まさみ主演の映画『MOTHER マザー』を観た感想について書いていきます。

シングルマザーの社会的孤立から、さまざまな思いが頭をよぎる本作品。

実話をもとにした、現在の日本が抱える問題を浮き彫りにした映画です。

映画『MOTHER マザー』のあらすじ

映画『MOTHER マザー』のあらすじ

周囲に金を無心して暮らす母・秋子に育てられた少年・周平。
秋子はホストの遼と意気投合し、周平を一人残したまま何週間もアパートを空ける始末。

秋子と遼は、金を手に入れるため他人を脅すも誤って刺してしまい、周平を含めた3人の逃亡生活がはじまる。

そんな中、秋子が妊娠した。

遼は自分の子ではないと言い張り、秋子と周平2人を残して去ってしまう。
周囲から見放され、実家の母・雅子からも絶縁を言い渡された秋子は、1人で周平と娘の冬華を育てることに……。

5年後、秋子は仕事もせずパチンコに明け暮れる毎日。16歳になった周平は、学校に行くこともなく、妹・冬華の面倒を見ていた。
住む家も失った3人に、児童相談所から救いの手が差し伸べられる。
そこで学ぶことの楽しさを教わった周平は、少しずつ世界が開けていくのを感じていた。

しかし、希望の光は一瞬でかき消される。

遼が秋子たちのもとへ戻ってきた。
借金取りに追われていた遼は、再び秋子と周平の前から姿を消す。

ついに金が尽きた秋子は、祖父母を刺してでも金を奪ってくるようにと周平に訴える。
少年は母の願いを素直に受け止め、祖父母を刺してしまう。

母と息子は後戻りのできない道へ踏み出してしまった……。

主なキャスト

映画『MOTHER マザー』に登場する主な登場人物・キャストを紹介します。

秋子
(長澤まさみ)
シングルマザー。一人で周平を育てる。
周平
(奥平大兼)
秋子の息子。

(阿部サダヲ)
ホスト。秋子の内縁の夫。
宇治田
(皆川猿時)
市役所職員。以前から秋子に気があった。
赤川
(仲野太賀)
ホテルの従業員。秋子と関係を持つ。
雅子
(木野花)
秋子の母。
冬華
(浅田芭路)
秋子の娘。周平の妹。
亜矢
(夏帆)
児童相談所の職員。

心に残るセリフ

映画『MOTHER マザー』のセリフの中で、心にグサッときたものを紹介します。

自分が舐めるように育ててきた子

秋子は息子・周平をこのような言葉で表現します。
「舐める」という行為は、動物が恐怖・緊張・ストレスを紛らわすために行うもの。
母は息子を育てることで、自分自身を保っていたことが伺えます。

自分の子供だから自由にして何が悪い

母は、息子を自分の一部として捉えながらも、彼の生活環境を一向に改善しようとしません。
母と息子という運命共同体に対するセルフネグレクトの感情が読み取れます。

セルフネグレクトとは?
生活において当然行うべき行為を行わない、あるいは行う能力がないことから、自己の心身の安全や健康が脅かされる状態に陥ること
引用元:Wikipedia

悲惨な現状に気づいてはいるものの、解決策が見つからずもがき苦しんでいる様子が感じられます。

お母さんが好きだから。それはダメなことなんですか?

周平が、なぜ母を庇って罪を背負ったのか尋ねられた際に言った言葉です。
どんなに歪んだ母親でも、息子にとってはかけがえのない存在であったのでしょう。

本来、母親を愛するのは正しいことです。
しかし、その母親が歪んだ者の場合はどうでしょう。息子にとって、その母親が生きる世界の全てだとしたら…?

深く考えさせられる一言でした。

ネタバレ|映画『MOTHER マザー』の見どころ

ネタバレ|映画『MOTHER マザー』の見どころ

さて、ここからは映画『MOTHER マザー』の見どころについて紹介します。

ネタバレも含んでますので、まだ映画を見ていない方はご注意を。

監督・大森立嗣が描く「愛」

映画『MOTHER マザー』は、現実に起きてしまった悲惨な事件をベースに大森立嗣監督がメガホンをとった作品です。
本作では、母の冷酷で歪んだ姿と時折見られる温かな家族の姿が、対比的に描かれています。

本当の愛とは何なのか?

観るものに問いかける作品です。

大物女優・長澤まさみの「狂気の演技」

この映画で、主演・長澤まさみは第44回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を獲得しました。
明るい笑顔が印象的な彼女ですが、本作では歪んだ母親という役を演じます。

パチンコに明け暮れ周囲に金を無心するだらしのない女。
息子に依存する母親としての一面。

この作品に”狂気”という深みを感じてしまうのも、彼女の表情豊かな演技によるものでしょう。

新人俳優・奥平大兼の「無言の演技」

奥平大兼は、17歳となった周平を演じます。
強者揃いのオーディションを勝ち抜き、本作が映画初出演となった奥平は、存在感のある演技で観るものを引き込みました。

セリフは多くないものの、前髪から覗く目もとからは悲しみや諦め、時には母への愛など、さまざまな感情が感じられます。

映画『MOTHER マザー』を観た感想

本作で描かれている”歪んだ母親像”。
これは映画の中だけでなく、現実社会にも少なからず存在するのだなと、改めて感じました。

数年前から「親ガチャ」という言葉を耳にするようになりました。
”子どもは親を選べない”ことを、皮肉っぽく表した言葉です。
社会のレールから外れてしまった親のもとに生まれた子どもが、まともに教育を受けられぬまま大人になり、罪を犯してしまうというニュースを時々見かけます。
子どもは罪を問われる一方で、その子の親は何のお咎めもなし、という不公平な現実も存在します。

福祉の力では、歪んだ親子愛に歯がたたないのか。

現代社会に埋もれた課題について考えさせられる作品でした。